総蛋白、アルブミンなどの検査項目について
血液中のタンパク質を調べる検査として、総蛋白とアルブミンの測定は非常に重要です。これらの検査は、体の栄養状態や肝臓・腎臓の機能を評価する上で欠かせない指標となります。
総蛋白は血液中に含まれるすべてのタンパク質の総量を、アルブミンは血液中で最も多く存在する特定のタンパク質を測定します。この2つの検査を組み合わせることで、より詳細な健康状態の把握が可能となります。
このページでは、各検査項目の意味や検査方法、基準値、異常値が示す可能性のある疾患について詳しく解説します。健康診断の結果が気になる方は、東淀川区の中城クリニックへお気軽にご相談ください。
総蛋白(TP)
どういう検査項目なのか?
総蛋白は、血液中に含まれるすべてのタンパク質の総量を測定する検査です。血液中には100種類以上のタンパク質が存在し、それぞれが重要な役割を果たしています。主な構成要素はアルブミンとグロブリンで、これらのタンパク質は体内の水分バランスの調整、栄養素や薬物の運搬、免疫機能の維持など、様々な機能を担っています。
どうやって調べるのか?(検査方法)
総蛋白の測定には、一般的にビウレット法という方法が用いられます。この方法では、血液サンプルに特殊な試薬(ビウレット試薬)を加えると、タンパク質と反応して紫色に変化します。この色の濃さを分光光度計で測定することで、タンパク質の総量を算出します。
この検査は通常の血液検査の一部として行われ、採血した血液を用いて実施されます。
一般的な基準値は?
一般的な総蛋白の基準値は6.5~8.3 g/dLです。ただし年齢や性別、検査機関によって多少の差異がある場合があります。
なお8.3 g/dL以上で高タンパク血症、6.5 g/dL未満を低タンパク血症となります。
「異常あり」の場合に考えられる病気は?
高値の場合
低値の場合
【ポイント】
総蛋白の値は、体の栄養状態や様々な疾患の存在を示す重要な指標です。しかし、総蛋白だけでは具体的にどのタンパク質が増減しているかわからないため、アルブミンやグロブリンの測定、さらには蛋白分画検査などと組み合わせて評価することが重要です。
アルブミン(Alb)
どういう検査項目なのか?
アルブミンは、血液中に最も多く存在するタンパク質で、総蛋白の約60%を占めています。主に肝臓で合成され、血液中の浸透圧の維持、様々な物質の運搬、体内の酸塩基平衡の調整など、多岐にわたる重要な機能を担っています。
アルブミンの測定は、栄養状態の評価や肝機能の指標として広く用いられています。
どうやって調べるのか?(検査方法)
アルブミンの測定には、主にBCP(ブロムクレゾールパープル)法やBCG(ブロムクレゾールグリーン)法が用いられます。これらの方法では、アルブミンと特異的に結合する色素を用いて、その結合量を測定することでアルブミン濃度を算出します。
この検査も総蛋白と同様に、通常の血液検査の一部として行われます。
一般的な基準値は?
一般的なアルブミンの基準値は3.8~5.3 g/dLです。3.8 g/dL未満を低アルブミン血症と呼びます。高アルブミン血症は稀ですが、5.3 g/dL以上の場合は脱水などを疑います。
「異常あり」の場合に考えられる病気は?
低値の場合
- 栄養不良
- 肝硬変
- ネフローゼ症候群
- 炎症性疾患
- 甲状腺機能亢進症 など
高値の場合
【ポイント】
アルブミンは体内で比較的長く存在するタンパク質なので、短期的な変化よりも長期的な健康状態をよく反映します。低アルブミン値は様々な病気で見られますが、病気の重さや今後の経過を知る手がかりになります。特にご高齢の方や慢性的な病気がある方は、定期的にアルブミン値をチェックすることが大切です。
ただしアルブミン値は急な炎症などでも一時的に低下することがあるため、この検査だけでなく、他の検査結果や症状なども合わせて総合的に判断する必要があります。